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プレゼンテーション教育を起点に、地域愛を育み、地域活性化とSDGsを促進するプロジェクト始動!

先回のブログでご紹介した滋賀県彦根市立南中学校との取り組みが本格始動いたしました。

同中学校の1年生234名参加のもと、プレゼンテーション教育を起点としてシビックプライドの醸成を図りつつ、地域活性化とSDGs促進につなげていくプロジェクトです。生徒が地元・彦根の魅力を再発見するというテーマのもと、市内をフィールドワークした生徒たちがそこから得た情報などをプレゼンテーション資料としてまとめ、代表チームとして選出されたメンバーが、自治体や企業から招いた外部審査員を前に本番のプレゼンテーションを行うというものです。
単に学校内行事として完結させるのではなく、地元自治体のシティプロモーション担当部署や地元に本社、事業所を構える上場企業とも連携し、子どもが参画する地域活性化とSDGs促進のムーブメント創出のステップにしていく点が特長で、SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」や目標11「住み続けられるまちづくりを」、目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」にもつながる取り組みです。

生徒へのアンケートでは、今回のプレゼンテーション学習が「良い経験になった」と回答(「とても良い経験になった」+「やや良い経験になった」の合算)した生徒は約97%に達しました。


さらに学習前と比較した地元・彦根の町に対する意識の変化としては、全体の9割近くが「以前よりも好きになった」と回答(「以前よりとても好きになった」+「以前よりやや好きにになった」の合算)するなど、地域愛、シビックプライドを育む上できわめて有効な手法であることが示されました。当社と彦根市立南中学校では、今回の取り組みをさらに発展させながら、次年度以降も継続してプロジェクトを推進していく予定です。

*アンケートはプレゼンテーション学習を行った生徒234名に対して実施し、210名が回答。​

■プレスリリースはこちら
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000051.000043615.html

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プレゼンテーション教育を通じてシビックプライドの醸成を。

バリューズフュージョン スタートアップJr.事務局の長竹です。当社では、小中学生の子どもたちに向けた体験型キャリア教育事業を通じて、生まれた環境や地域、家庭の経済的な理由に関係なく、子どもたちが自身のキャリア構築の可能性を拡げられる事業を展開しています。

このような事業に絡み、昨今、自治体の関係者さまからお問い合わせをいただくことも増えてきましたので、今回は子どものプレゼンテーション教育と自治体の「シビックプライド(Civic Pride)」すなわち、都市や町に対する市民の誇りとの関係について述べさせていただきます。

シビックプライドは郷土愛にも似た概念ですが、単に故郷や地元に対する愛着ということだけではなく、市民が主体性を持って、「自分たちの町をより良い場所にするために、より良い未来をつくるために関わっている」という当事者意識を伴ったものである点が大きな特徴です。シビックプライドという「自負心」を持った市民は、町づくりや地域コミュニティづくりなどへの積極的な参加が期待されるため、財政難や人材不足といった問題を抱える全国の自治体にとっても関心の高いテーマです。地域創生や地域ブランドの創出、関係人口とも密接に関連し、当然ながら町の活気にも直結してくるため、シビックプライドをいかに醸成していくかが喫緊の課題となっている自治体も多いようです。以上のようなことからも<シビックプライドの醸成>は決して大人だけの問題ではなく、子どもたちにも影響してくるということがご理解いただけるかと思います。

今は小中学生の子どもたちも成長し、やがては地域を担っていく存在となります。進学や就職でいっときはその地域を離れる子どももいるかもしれませんが、数年後に戻ってくる場合もあるでしょう。その時点で彼らの中に、シビックプライドに通じる心情が育まれているかどうかは、地域の発展を中長期的な視点でとらえた場合にとても重要と思われます。

そこで有用だと考えるのが、子どもたちのプレゼンテーション教育を通じたシビックプライドの醸成です。小中学生へのプレゼンテーション教育自体は昨今、特に珍しいことではなく全国で行われていると思いますが、それに付随して、「自分たちが住む町をさらに発展させるためには」あるいは「自分たちが住む町の課題や問題を解決するためには」といったテーマを投げかけた上でプレゼンテーションしてもらうというものです。

このようなテーマを投げかけることで、子どもたちは自分が認知している町の姿やイメージとは別の側面を学ぶことになり、かつ自分が住む町をより主体的にとらえるようになります。これは言わば、「地域行政参加の第一歩」にもなり得るのではないでしょうか。実際に、私が群馬県の大泉町で関わったワークショップの事例として次のようなケースがありました。

大泉町は人口約4万2千人のうち19%が外国人住民(令和2年11月末現在)で、ブラジルをはじめ46ヶ国もの国籍の住民が暮らす全国有数のダイバーシティ先進エリアです。当社では、大泉町の教育及び社会課題解決の施策として、同町と連携、同町在住のブラジル人学校の中高生に対し、プレゼンテーション教育のワークショップを実施しました。当日は45名が参加、ポルトガル語通訳も交えて、型にはまらず柔軟なアイデアをアウトプットしてもらうためのクリエイティブ発想の講義とプレゼンテーションの講義をした後、8グループに分かれて「大泉町を活性化させるアイデア」をプレゼンテーションしてもらいました。

当日の実施風景(2019年11月)

当初は、なぜこんなことを行うのか納得し兼ね、斜に構えたような態度の生徒も見受けられましたが、グループに別れて皆で議論していく中で、ポルトガル語を理解できない私にも、場の雰囲気が変わり濃密な空気感が生まれてくる印象を持ちました。

プレゼンテーションでは、多様な国籍の市民が気軽に集えるイベントの開催や、町のシンボルとなるようなイルミネーションの設置、また自動ゴミ収集ロボット(ゴミを出す曜日や分別方法が複雑な日本の制度は、外国人にとって理解しにくく、トラブルになる要因の一つ)など、様々なアイデアが披露されました。ここで重要なことは、このプレゼンテーションから彼らが抱えている特有の悩みや同町に対する思いが浮き彫りとなり、リアルな意見を集約する「新しい形の広聴会」的な側面が生じたということです。さらに大切なことはアイデアの表層的な面だけにとらわれず、なぜそのようなアイデアが出てきたのか、その背景にも思いをめぐらせることで、当該地域の課題解決の糸口も見えてきます。先のアイデアを帰納法的に分析すれば、在日ブラジル人の若者たちは地域における一体感やまとまりを希求しているのではないかと推測されます。

大泉町を活性化させるためのアイデアをプレゼンテーション

このように、自分たちが住む町を活性化するアイデアをグループで考えてプレゼンテーションするというプロセスは、図らずも彼ら在日ブラジル人の若者が抱えている問題意識を客観的に議論し合い、いかに住みよい町にしていくかということを<自分ごと>として捉えてもらう良い機会となりました。彼らは行政や町づくりに参画するような機会はおそらくなかったのではないかと想豫するのですが、その「思い」あるいは「悩み」をプレゼンテーションという形で発露し、友人同志や学校の先生、さらには町役場の職員も含めて共有できたことは、当該地域への帰属欲求を満たす意味でも少なからぬ役割を果たし得たことでしょう。

学校の先生によるレビュー
ワークショップ終了後は生徒同士で抱き合う姿も

そのような観点から、この手法は在日外国人からリアルな意見を汲み上げつつ、町づくりへの当事者意識を高めてもらうアプローチになり得るかもしれないと痛感しました。私はこれまでマーケティングリサーチの作業にも多く関わってきましたが、グループインタビューの席上においても、建設的な議論が交わされ、ラポール(心理学用語で「信頼関係」や「心が通い合う関係」のこと)が形成された感がある場合には、全くの初対面で集まった参加者同士であっても「提示されたテーマに対する議論をきっかけに」打ち解け合う場面を度々見てきました。
大泉町のケースは在日外国人の子どもたちを対象としたものでしたが、外国人、日本人に関わらず、この手法は自治体においてシビックプライドを醸成していく上での良い動機付けになると考えています。ご関心がありましたら、お気軽にご連絡ください。

スタートアップJr.事務局 長竹直哉